介護保険、ベッド、車いすの貸し剥がし?
介護ショップらくだ職員 小川一八(おがわかずや)


写真 2006年4月からの介護報酬改定は、要介護認定が要支援I・IIもしくは要介護度1の方について「特殊寝台」「車いす」「床ずれ防止用具及び体位変換器」「認知症老人徘徊感知器」「移動用リフト」の貸与(レンタル)について、介護保険給付の対象外となりました。これにより、ベッドは27.7万件・車いす11.6万件(2006年3月審査分の数値より、総数はベッド70.2万件、車いす41.2万件となる)が「貸し剥がし」の対象者となりました。このことは、利用者やその家族はもとより関係者に大変な驚きとして受け止められました。それは、要介護1の利用者が最も多いこともさることながら、個々の利用者がベッドや車いすを利用することで、生活自立機能(ADL)の低下を予防しているケースを多く知っているためです。今回の改定では、このように利用者の現状と施策との乖離が著しい理不尽な施策であるために、大変な混乱状態にあります。
 緊急に8月10日から“介護ショップらくだ”では、ベッドの貸し剥がしがおこなわれる利用者を担当するケアマネジャー等へアンケート調査をおこないました。下記は、そのケアマネジャーの苦悩と悲痛な声の一部です。(8月16日現在)
 一読いただければ、現状をご理解いただけると思います。

アンケートの「意見の欄」
 区分変更をおこなっても調査員によっては介護度が適正に出されない。(J訪看ST)

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 この利用者は独居で関節症悪化のために階段最上段より転落したことがある。なんらかの認知障害も起き始めているために注意が必要と考える。普段は腰が曲がり、シルバーカー無しでは歩行もできない。改正後、要介護度認定をおこなったが、その折りに認知症の症状は確認されず整容も一応はできるために要介護1と認定された。厳しい結果となった。歩けない、転倒しやすい利用者が足がつっぱって、畳から起き上がるときに腕や足の骨折の危険さえある。この方が、ベッドが本当に不必要なのでしょうか。(KM診療所)

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 この利用者は脳梗塞の再発を防ぐために水分の摂取を強く促されている。そのために夜間頻尿となってしまった。ところが本人は薬による副作用から片足に麻痺が発生し、杖のない生活は困難になる。夜間、ベツトからトイレの移動であれば比較的に楽なのだが、畳では転倒、骨折の危険がある。排尿回数を減らすために薬を減らし、水分摂取を減らせば、脳梗塞再発の危険もある。(KM診療所)

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 ベッドなしでは、小脳出血後遺症での歩行失調、運動失調があり、転倒の危険もあるために動くことが少なくなっている。これにともない、筋力低下により寝たきりとなってしまう。経済的にも厳しいので、知人からベッドを譲ってもらう。そのベッドはクッションが悪い、手すりがなく起き上がりが大変になったと話を聞いた。(KE診療所)

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 4月からベッドの利用について考えてきたが、変形性膝関節症、腰痛症がありベッドなしの生活は寝たきりとなり、筋力低下をきたすことは明らかである。ベッド購入を考えていろいろとあたってみたが、手すりがなく使用しにくいものばかりで、見つかりませんでした。それで、ベッドの購入は価格が高いということと、今後は介護区分の変更も予想できるので、自費のレンタルを選択しました。(KE診療所)

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 リウマチになって、布団の生活は無理である。今の症状では電動ベッドが必要というほどではない。ベッド購入の場合メンテナンスが問題。不要となったときの処分を考えて自費レンタルを検討している。(KE診療所)

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 現在入院中、要介護認定調査は入院直前の元気なときにおこなわれました。病院でリハビリをおこなっており入院前のADLと同程度のレベルになれそうです。在宅生活に戻ってみないとわかりませんが、様子次第では区分変更を提出することも考えています。(H訪看ST)

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 円背の方です。ベッドがないと起き上がりが困難。区分変更も考えている。(O病院)

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 脳出血によりM病院に入院中、右半身麻痺があり区分変更を申請(O病院)

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 保険でレンタルできなくなった場合、生活費を削ることになるといっていた。(KE診療所)

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 保険レンタルできなくなった場合、金銭的な問題(生活費を削る)がおこり、生活が圧迫される。(KE診療所)

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 同じ介護料を年金から引いて、サービスを受けられる人と受けられない人をつくるのは不平等だと思います。予防をもっと厚くして欲しいと思います。(O訪看ST)

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 転倒の危険、立ち上がりの困難(J訪看ST)

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