なんだか世の中の深い底のほうで、怒りが渦を巻いています。ふだんは穏やかに孫の面倒を見たり、訪れてきた人に親切に道を教えてあげたりしている近くの煙草屋のおばあちゃんが怒っていました。理不尽な振舞いにあって、心の底から怒っているのです。▼何が彼女を怒りに至らしめたのか!姑から継いだ煙草屋を守り続けてきた彼女の店の売り上げに消費税が課せられたのです。定価の8%から12%しか利益は見込まれない煙草の場合、年間一千万円の売上げがあっても、利益は百万程度です。しかし政府はこれまで三千万円以下の売上げの商店や工場にはかけていなかった消費税を今年度より引き下げたのです。おばあちゃんの煙草屋さんには、利益の二か月分近い17万円もの消費税が新たに課せられたのです。彼女の怒りは当然です。▼年寄りのための消費税だと思っていたのに介護保険料は増える、高齢者控除がなくなって税金は上がる。そして医療の負担は増える。おばあちゃんも国民のひとりひとりも負担してきた消費税は導入されてから18年間で175兆円。同じ18年間でトヨタ自動車に代表される法人税の減収は160兆円。政府にまんまと騙されたと気がつきました。彼女が政府に騙されたのはこれで二度目です。一度目は乙女であった頃、日本を守りアジアを解放すると教えられて、本気になって奉公した戦争の時です。街の中のほうぼうで、もう騙されてなるかの思いをこめた、怒りが噴きあがっています。
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