新春インタビュー


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聞き手:井上俊治(「城南の保健」編集部) 
話し手:権守光夫先生(城南福祉医療協会理事長)

知恵とアイデアを出し合い夢を現実に

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権守光夫
城南福祉医療協会理事長

 編集部:明けましておめでとうございます。いよいよ新大田病院が2007年から現地立て替え方式で着工することになりました。今年はその準備期間として大事な年になると思いますが、理事会としてはこの一年をどのように位置づけていますか。
 権守理事長:城南福祉医療協会の第2次長期計画では2004年度より新大田病院建設に着手する予定になっていましたが、土地の確保が進まず、3年遅れではありますが着工のめどが立ちました。生協の組合員や地域のみなさんには大変心配をおかけしました。昨年、ようやく土地の確保のめどがつきましたので、建設の第一歩を踏み出す一年になります。地域からの要望に応え、現地立て替え方式で診療の質量とも落とさないで建設を進めていきます。立て替えには全部で30億円かかるわけですけど、1年目は土地を確保するのに3億円が必要になります。昨年11月より新大田病院建設資金の募集を行いまして、順調に集まっています。
 お金が集まり、立派な入れ物が出来ただけでは地域の医療要求にこたえることは出来ません。どんな病院にするのかという議論が始まっていますが、それに向けて12月の理事会で建設委員会を立ち上げ本格的な議論をはじめていくことになります。それには職員だけでなく、生協、地域の方々の意見が反映されるような委員会の構成にしていきたいと思っています。
 編集部:行政も施設の活用等の協議会を行う場合、公募委員を募ったり、傍聴者にも一定の発言時間を設けるなどの工夫も行われています。建設委員会ではそのような仕組みづくりは考えられますか?
 権守理事長:地域の方の参加についてはかつての経験があり、3年前の大森中診療所を建設するときには、地域の方が建設委員長として活躍していただきました。新大田病院の時には建設委員会や小委員会の中に積極的に入ってもらいたいと思います。建設委員会の公開については建設委員会のなかで検討してもらいたいと思います。
 新しい病院でどのような医療を行うかを、職員と保健生協組合員、地域住民、患者さんやその家族の方々も含めて、いっしょに考え具体化することが重要です。そのために、皆さんの知恵やアイデアを出したり、課題を共有化する仕組みづくりは必要だと思います。

人材確保も重要 今春4名の研修医が

 編集部:新しい医療構想を担う「人」の確保と質の向上も重要な課題だと思いますが?
 権守理事長:人の確保という点では医師体制と看護体制が今でも厳しいわけですが、今後は新病院にむけて新卒だけでなく既卒の人も含めて広く結集をはかっていきたいと考えています。医師については昨年は2名の研修医が参加しましたが、今春は4名の研修医の参加が決まっています。また看護師も今年度卒業の看護学生が順調に集まっています。病院を立て替えても規模がさほど拡大するわけではないので病院が完成する4〜5年の間に成長してくれれば、新病院建設後の主力になりうる人材だと期待しています。
 医療の質の向上について言えば、昨年11月に病院の機能評価機構の認定が取れました。また、整形外科の医師体制が充実してきました。MRIは2008年に新しいレントゲン棟ができる時に導入できる可能性が強いと思います。今までは内科、外科、整形が中心ですが、泌尿器や眼科の医師が確保できれば、多彩な医療が展開できると思います。人の体制次第でどうなるかわかりませんが。
 編集部:新しい診療科や病床がすぐに出来るかどうかは別として、建設委員会の場で地域の医療要求として出していくことが大事なわけですね。
 権守理事長:そうですね。図面上では200床以上の病院が作れますが、詳細は決まっていないので、一年間かけて設計図を作る年になります。その点で建設委員会も一番忙しい年になると思います。
 新しい病院になると、療養環境が良くなり、今は1床あたり4.3平方メートルという昔の基準(実質5平方メートル前後)ですが、新病院は1床あたり8.0平方メートルで、今の約2倍近いスペースがとれますから、その点でも期待していただけると思います。

地域の方とのさらなる関係づくりを

 編集部:新大田病院立て替えの運動は何年か続く訳ですが、生協の組合員にもっとも望むことは何ですか?
 権守理事長:一番大事なのは資金のことになります。毎年建設債を募ることになりますが、建設には30億かかるわけですが、銀行から借りるよりも、なるべく多くの組合員の方が建設資金に協力して頂くことが成功の鍵を握っています。職員と地域の方がいっしょになって作る病院という観点で新病院建設に参加してもらいたいと思います。
 編集部:ゆたか病院も立て替えの時期に来ていると思いますが、新大田病院立て替えの論議のなかで、話し合われるのですか?
 権守理事長:城南福祉医療協会として239床のベッドを新大田病院に集中させることはスペースの点からも無理があります。ゆたか病院は55年にわたって品川地域で皆さんに支えられてきた歴史の重みがあります。新大田病院とゆたか病院が何床になるかは、建設委員会の論議の過程で明らかにしていきます。建設委員会には品川地域の組合員さんにも参加してもらう予定でいます。
 編集部:紙面が残り少なくなってきました。最後に一言お願いします。
 権守理事長:医療情勢が厳しくなるなかで、新大田病院の建設を成功させるには地域の方々との更なる信頼関係の構築が必要です。そのためにも城南保健生協の組合員をたくさん増やし、私たちの医療・福祉・介護のネットワークの網の目をきめ細かくすることが大事だと思います。
 理事会はその先頭に立って奮闘する決意です。今年は戌年ですが「犬は吠えても歴史は進む」のです。
 編集部:どうもありがとうございました。

 

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