使わない機能は後退する
「使わない機能は後退する」という法則があります。例えば、通常の日常生活をおくっていた人でも怪我や病気で数日間寝込んでしまうと、筋肉に廃用性の変化か起こって寝込み明けには歩行時にふらついたり、ちょっとした坂道や階段で息切れを感じたりします。
これは極端な例ですが、現代の都市生活は大変便利になり,油断すると運動不足になりがちです。慢性的な運動不足は怪我や病気で寝込むほどではないにしろ、じわじわと身体のいろいろな機能に廃用性の変化を引き起こしています。
糖尿病は運動不足と過食が原因
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ストレッチで体をほぐしましょう |
特に最近話題の生活習慣病との関連で運動不足による身体の変化を見ていく必要があります。生活習慣病のなかでも糖尿病や高脂血症のようなエネルギー代謝に関わる病気は脳血管障害や心筋障害のような重篤な病気の危険因子として知られていますが、糖尿病は運動不足と過食による余剰エネルギーの蓄積とインスリンというホルモンの働きの低下、などによって引き起こされます。また、高脂血症は血液中で脂質と結合する蛋白質の性状に影響されます、一般的には普段から運動習慣のある人はHDLという蛋白質が多く、血管の老化(動脈硬化)の程度が少ないと言われています。
運動不足で心臓の筋肉の衰えが
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登山は気分転換には最適です |
代謝系の機能以外でも、運動不足では骨密度や筋肉の柔軟性などが低下し、骨折や筋や軟部組織の障害(筋肉や腱の断裂)を起こしやすくなります。循環器系への影響も重大ですが、心臓の筋肉の衰えから収縮力が弱まり、還流量(末梢から心臓に戻ってくる血液量)の低下と相俟って、一回の心収縮での拍出量が低下し、安静時の心泊数の増加し、結果的に心臓への負担が増えます。さらに動脈の血管壁の緊張を司っている神経の働きも低下し、動脈硬化による血管の内側の面積の狭小化と血液性状の変化と相俟って血管の圧力が高まり、高血圧を来します。また、特に喫煙者では、肺の弾力性が低下するのと肺の血流量が低下し、肺における血液中の酸素と二酸化炭素のやりとりの能力が低下するために息切れが起こりやすくなります。運動不足はこのように身体の様々な機能を後退させ、疾病への引き金になることが知られて居ます、いわば長い間使われなかった車のようにギアが錆び付いていたり、燃料のチューブが詰まってしまったりしている状態になっているということです。逆に言えば、一日の中の僅かの時間で構いません、その時間に意識的に身体運動を行うことで、いきいきライフが手に入るということです。では、どんな運動を行えば良いのでしょう。
まず自分のペースで30分歩行を
運動不足を自覚している人が運動を始める際に気を付けなければならないことは、いきなり頑張らないことです。例えは悪いのですが、身体は錆びている状態ということを頭に置いて、軽くてかつ、取り組み易い運動から始めるべきです。ウォーキングが良いでしょう、まず自分のペースで三〇分歩いてみましょう。今の時期ですと、夕方も七時ころまではまだ明るいので仕事が終わってから気楽にまず歩く事です。朝のウォーキングもよいのですが、その後に何か予定があると気楽にゆっくりとしたペースで歩く事自体を楽しむという感じになれないとおもいますので、後に予定のない時間帯のほうが良いと思います。「歩いていて気分が乗ってくれば時間を延ばせる」というやりかたが良いとおもいます。
楽しみながら自分に合った運動を
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生協にもダンスサークルがあります |
その様な自由歩行の前後にストレッチ体操(図1)やラジオ体操のような軽い体操を行いましょう。ストレッチ体操は本もいくつか出ていますので参考にすると良いでしょう。身体を動かす事に慣れてきたら、週に二〜三回を目安に水泳やダンスなど楽しく続けらけれる教室に入るのもよいでしょう。これについてはどんな運動が良いかということは特にありません、重要なことは、楽しみながら続けられる運動を探すことです。また、歩行は続けてください。少しずつ速度を上げて、同じ三〇分でも距離を伸ばすようにしていきます、目安は三〇分で二キロメートル程度が目標です。
要は、週に三回くらい健康の為の運動を意識していただくことが大切です。その際に大切なことは、楽しみながら続けられる運動を見つけることです。運動後は爽快な気分になりますが、それはあなたの身体の錆びと心の錆びがひとつ落ち、生活習慣病の危険因子を減らしたという証です。
要は、週に3回くらい健康のための運動を意識していただくことが大切です。その際に大切なことは、楽しみながら続けられる運動を見つけることです。運動後は爽快な気分になりますが、それはあなたの身体の錆びと心の錆びがひとつ落ち、生活習慣病の危険因子を減らしたという証です。
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