「団塊の世代」と呼ばれる世代があります。昭和22年前後に生まれた人たちで、日本人の中で一番厚い層をなしています。戦争を知らない世代であり、戦前・戦中派からはその軟弱さを指摘されたりもしました▼確かに、その成長過程にも段差が感じられます。プラモデルや劇画のブームを支え、吉水小百合にあこがれながら青春を迎えました。原っぱ遊びから、室内遊びへの移行を見守ってきたのも団塊です▼やがて団塊の世代には空前の学園紛争の時代、その主役に躍り出たりもしました。そして就職です。中卒、高卒、大卒みんな働きはじめました。権利を守るための労働組合にも参加していきました。しかし、企業の力は強大であり、多くの人々が押し返され企業戦士に仕立て上げられました。モーレツ社員とも呼ばれたりしました。さらに中流意識を植え付けられたりで、支配者の側に手なづけられた時期もありました▼それでも、きびしい環境のなかで「男女差別」「不当労働行為」をねばり強いたたかいで会社側に認めさせる健闘ぶりも示してきました。そして団塊の世代は、そろそろ07年問題と呼ばれるかつてない大量の退職者を迎えようとしています。いまそのことで年金のことばかりがクローズアップされています▼しかし、団塊はなおエネルギーを蓄えており、経験も豊富です。そして忍び寄る老いは逆に青年時代を呼び醒まします。会社の軛から解放された団塊は、かつて夢見た自由と平和に向かって歩みはじめる可能性もあります。