子どもと向き合う その(3)
青年にとって生きることと平和な社会


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森 光男さん

 今十代からニ十代の青年達数人と高齢者の皆さんへの援助をさせていただく活動「みつばち」の活動をさせていただいています。お部屋の掃除などをしながら、青年自身が社会参加してゆくきっかけづくりに繋がるようにとの主旨で始めたのですが、毎回なにかしらお年寄りの方たちから気づかされることがあります。また青年達自身一緒に活動している仲間の変化や自分自身の考え方の変化に気づかされる時もあります。
 参加してきている若者達の中には学校時代に不登校だったり、いろいろいやな体験をしてきている人もいます。そんな中の一人、Aさんは昔のお話を一生懸命されるお年寄りと話しをしてきて「あのおじいちゃんはきっと私達に仕事を頼みながら本当は自分の昔の元気だったころのことを聞いてもらいたかったんだと思う」と感想を話してくれました。彼女は今17才の女子高校生。中学の一時期不登校だった彼女にとっては、体が思うように動かないお年寄りのつらさがよく感じられるのかも知れません。高齢者支援活動を通じてこうしたいろいろな発見をしながらちょっと変わってきた自分に出会うのが「みつばち」の活動です。
 「自分ではなにをやっていいのか良く分からない。あれもこれもちょっとはいいと思うけど、やってみると自分には向いていないのかなあ…なんて思う」という青年が結構いす。世の中には無数に仕事はありますから、チャンスさえあればいろいろなことができます。でもたくさんやりたいことがあっても自分の体は一つで、できることは限りがあります。そんな中から一つの仕事を見つけても100%自分にぴったりなんて仕事はありません。今は青年にとって、仕事探しのもっと手前に「社会と自分との関係づくり」という問題があるように思います。社会の中で自分が大事にされている,必要とされているという感覚が十分に深まってきて、初めて「仕事」の中に自分の生き方を重ね合わせることができるのではないでしょうか。
 私が一緒に活動している青年達は心優しくまじめです。相手の気持ちを本当によく感じとめることのできる青年もいます。イラクで殺害された香田生証さんも、そんな心優しく他人の痛みを人一倍感じられる青年の一人であったのではないでしょうか。そんな青年の未来を断ち切ってしまたテロ集団には大きな怒りを覚えます。香田さんの冥福を祈りながら若者たちがじっくりと自分探しの旅を続けられる社会を願います。
(NPO法人ゆうえふ代表 森 光男)

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