【新連載】こどもと向き合う その(1) 自己責任ってなんだ!

森 光男さん
 「今日、学校の先生が言ってたんだけどさ、あの人達を日本まで運ぶのに何十万円もかかったんだって。ひどいと思わない?自分たちが勝手にあんな危険なとこ行ってさあ、そんでもって捕まったら助けてくれなんてさあ。勝手過ぎるよな。」イラクで3人の日本人が人質となった時のことです。中学3年生たちと授業の一休みの時間にイラクのことについて話し合った時、次郎君はこんなふうに僕に気持ちを話してくれました。彼は3人に対して反発すら感じているようです。他の子達も「危険を承知で行ったのにいざとなったら助けてなんて…」という様子。当時マスコミでは3人の「自己責任」が毎日のように流されていたが、子どもたちも影響を受けたのでしょうか…。

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 中学生たちの間では−少なくとも私が接してきた子どもたちを見ていると−もうずっと前から「自己責任」はあたりまえに語られていました。自転車取られても「取られるほうが悪い」、テストの点数が悪いのも「自分が馬鹿だからしょうがない」、あの子がいじめられるのも「あの子自身が悪いとこあるからあたりまえ」などなど、あげればきりがありません。「本人のせい」という「自己責任」論がずっと以前からまかりとおっているのです。

 大事な本当の原因がどこかへいってしまって、見当違いの個人に責任が転嫁されてしまっているのではないでしょうか。

 こんな彼らの世界に飛び込んできた、マスコミの垂れ流す「自己責任」論は、中学生たちにとって、すでにあった彼らのジョウシキをあらためて「確認」させるものになってしまったように思います。

 こどもたちの世界は今どうなっているのでしょうか。子どもたちの居場所「ゆうえふ」からしばらくお便りをお届けしたいと思います。

(NPOゆうえふ代表  森光男:大田区大森西在住)

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