腹八分
 「1万3300円」国民のおよそ2200万人が加入を義務付けられ一律に払い込んでいる国民年金保険料の金額です。今その納付率が60%をわずかに越えるところまで落ち込んできています。厚生年金の摘要外にある小規模経営者やその従業員、さらには無職の人が対象になっています。年金は将来の生活を支えるための制度であり、加入が望ましいのは当然ですがひと月に1万3300百円の金額は国民年金加入者にとってどれ程の負担であるかを確かめることも大切です。
 自営業者のある人は仕事が減って月に10万円の収入がやっとです。6万円の工場の家賃も滞りがちで、生活費は月に10万円に満たない奥さんのパート収入に頼らざるを得ません。だのにいくら将来の生活のためと言っても、1万3300円は重くのしかかります。また一人暮らしのある人は長引く不況で職を失い、頼みの雇用保険も打ち切られて無収入です。病気でもないので今は僅かな貯金を切り崩しての生活です。年金を払い込む気持ちにもなれないので、そのままになっています。
 こんな人々が加入者の4割近くを占めているのです。いずれも長く続く『不況型』の未納者です。いわば経済政策の行き詰まりから生まれた現象です。この事態に及んで政府は本来の救済という仕事を投げ捨て、加入者の預金に目をつけてそこから引き出そうと言う方針を打ち出しました。国民年金の受給は年ごとに遠のき、また年金だけでは生活もおぼつきません。骨太方針の一つだけど、国民の骨は細まるばかりです。

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