◆◆◆ 痴呆症を正しく理解するために<1>◆◆◆
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現在、痴呆性老人は65歳以上人口で7%を占めており、年齢とともに増加して85歳以上では20%を超えます。従って日本では160万人、高齢者世帯8世帯に1世帯の割合で痴呆性の高齢者がいることになります。今後はさらに増加して2030年には300万人を突破すると推定されています。 痴呆症は私たちにとって、大変身近な病気になってくるわけです。痴呆とは脳の後天的、器質的病変を基盤として起こる記憶や知的機能(知能)の持続的障害で多くはゆっくり進行します。知能とは外界の変化を的確にとらえ、それに対して適切に反応する脳の総合的機能(抽象・思考・判断)であると同時に、個々の認知機能(高次の感覚・運動機能・言語・抽象機能・記憶、学習機能など)の総体のことです。これらの障害により社会的または職業的機能の著しい障害を引き起こし、病気になる以前の機能水準から著しい低下を示す場合に痴呆症と診断されますが、社会生活に支障がなければ痴呆症とは診断されません。主な痴呆はアルツハイマー型痴呆と脳血管障害(脳梗塞など)による痴呆であり、この二つで痴呆症の約80%を占めています。従来はわが国では脳血管性痴呆のほうが多かったのですが、高血圧症の治療による脳血管障害の予防や、高齢者人口の増加、核家族化などに伴う軽症痴呆例の増加などにより最近はアルツハイマー型痴呆の割合が増えてきています。もちろんこの両方が合併している方もいらっしゃいます。 痴呆症の診断 痴呆の中核症状は記憶をはじめとする認知機能の著しい低下です。これらの機能の障害を明らかにし、他の痴呆症状を呈する疾患を鑑別します。痴呆の程度を診断するためにスクリーニング検査として各種痴呆評価スケールを用います(改訂長谷川式簡易痴呆スケール・MMSEなど)。一度だけでなく日を変えて検査を複数回行うことで診断に役立つことがあります。 例えばせん妄状態の場合には検査の実施時期によって得点に大きな変動がみられます。特に高齢者では感染による発熱、循環障害、薬物(精神安定剤など)の過剰投与、脱水症状などをきたしやすく、せん妄や軽度の意識障害では痴呆と似た症状を現すことがあります。また抑うつ状態の時には意欲の低下や注意を保てなくなることにより、記憶の低下が憎悪し一時的にみると痴呆に似た症状になります。しかし治療によってうつ状態が良くなるとこの記憶低下も改善するため仮性痴呆と呼ばれています。いずれにせよ痴呆の診断には数値で表せる検査は存在しないため容易ではないのです。 老年期痴呆の原因疾患と治療可能な痴呆 老年期痴呆の原因疾患は表のとおりですが、アルツハイマー型痴呆と脳血管障害による痴呆が約8割をしめています。しかし甲状腺機能低下症やビタミン欠乏症、感染症、慢性硬膜下血腫や水頭症、脳腫瘍などは早期に診断すれば痴呆を改善させることができます。 アルツハイマー型痴呆の症状 アルツハイマー型痴呆の症状をまとめると以下のとおりになります。 1. 中核症状
記憶障害などの中核症状から二次的に起こる症状。
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