腹八分

NHKの大河ドラマ「宮本武蔵」のナレーションの中で「戦国の世でも一般的に略奪が行われておりそれを認めることによって兵士を集めた」こんな説明でした。

兵士たちは勝ち戦に乗じて功を上げるとともに分捕り品にも恵まれたのです。

▼略奪は戦国の世に行われただけでなく、古来より戦の常識でもありました。中世や近世におけるヨーロッパの戦争でも勝利に乗じて「三日間の略奪を許す」こんな暗黙のお触れが出されたりしています。略奪の伝統は日本にも長く残りました。明治維新の時も官軍は十分な軍資金を持たず行軍を続けながら、各村々にお触れを出して食料や馬を供出させています。近代戦においてもこの伝統は守られ中国、アジア、南方の各地でも現地調達という名の略奪が日常的に行われてきました。

▼略奪の伝統は戦地の民衆を苦しめ共に、日本軍兵士をも苦しめました。日本軍は当時の欧米諸国と較べて輸送や補給を軽視する傾向にありました。戦局が悪化すると共に南方の島々は孤立していきました。ビルマにおけるインパール作戦においては、補給路を断たれた日本軍兵士は次々に餓死していったのです。第二次世界大戦における日本軍兵士の戦死者は戦闘における死よりも、戦病死よりも餓死が多数を占めていたと記録されています。

▼そして今、アメリカにおけるイラク攻撃が起こされようとしています。アメリカの補給は保障されていても石油の利権をめぐる略奪の思想は生きています。

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