腹八分

空気さえもよどむような暑い夏でした。夏は暑いに決まっていますが近年の夏の暑さは少し様子が違っています。城南の地域にもところどころ田んぼや畑が残っていたころは日中の直射日光はやはり暑いものでしてが、陽が落ちかけてくるとどこからか涼風が漂ってきて日中の疲れを癒してくれたものです。家と家との間にだってまだ空間が残っていたし、夕方になると決まって井戸水を庭や道路に撒いたりするステテコ姿のおじさんがいたものです。

だのに現在では暑さを吸収する土がありません。打ち水をやろうと思っても水道からしか水を得られません。その水道水だってアスファルトの上をむなしく流れていってしまいます。かくして熱帯夜はエアコンで過ごすはめになってしまいます。

いくらか唐突ですが長野県で田中康夫氏が知事に再選されました。知事の脱ダム宣言が県民の利益をそこなうということで県議会の多数派から失職をつきつけられたのでした。ダムはゼネコンの代表的なものです。県民はゼネコン型の公共事業よりも環境の保全そして福祉や教育の充実を選びました。

大きい公共事業は大きい建設会社や大きい銀行に利益が吸い上げられてしまいます。住民の願いに沿った細やかな公共事業こそ大切です。巨大なダムを造る予算で雨水を一般家庭でためる。雨水をそのまま下水道に流さないで地下に戻す。こんな小さなダムづくりを公共事業の中心に据えれば熱帯夜も過ごしやすくなるし、街の活性化にもつながります。

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